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明王 · Mahamayuri

孔雀明王

くじゃくみょうおう

明王Mahamayuri

明王の中で唯一、忿怒相をもたず、穏やかで慈悲深い顔を持つ異色の尊格。孔雀に乗り、毒蛇を食らう孔雀の性質から、あらゆる毒・災厄・疫病を除く力を象徴する。

Description

孔雀明王は、明王の中で唯一忿怒の相を持たない、穏やかで美しい顔つきの尊格である。他の明王が激しい憤怒の表情で衆生を救うのに対し、孔雀明王は菩薩のような慈悲に満ちた温和な表情で描かれる。この独自の性質は、孔雀明王が持つ根本的な徳――毒を浄化し、災いを除く穏やかな力――を体現したものとされる。 孔雀はその習性として毒蛇や有毒の虫を食べることが知られており、古来インドではこの性質が「毒を滅する神聖な鳥」として崇拝されてきた。孔雀明王はこの孔雀の象徴性を仏教的に昇華したものであり、人々の身に及ぶ毒・病気・災厄・煩悩といったあらゆる「毒」を取り除く功徳を持つとされる。孔雀に乗る姿は、その力の象徴として図像に明確に示されている。 孔雀明王の信仰の根拠となるのは『孔雀経』(仏母大孔雀明王経)であり、釈迦が毒蛇に咬まれた弟子を救うためにこの明王の真言と法を説いたと伝える。この経典に基づいて修される「孔雀経法」は、密教の重要な修法のひとつとして体系化された。 平安時代には、孔雀明王への信仰は雨乞いの祈祷と深く結びついた。「請雨経法」と呼ばれるこの修法は、旱魃の際に雨を降らせることを目的として宮中や大寺院で盛んに行われ、空海(弘法大師)もこの法を修したと伝えられる。孔雀が雨季に舞うというインド由来のイメージも、この雨乞いとの結びつきを強めた。 また、孔雀明王は疫病退散の本尊としても広く信仰された。流行病が猛威を振るう時代には、その毒を祓う力にすがる人々の祈りが各地の寺院に集まった。現代においても、病気平癒・除災延命の仏として、密教系の寺院を中心に篤い信仰が続いている。

Iconography

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穏やかで美しい顔立ちが特徴的で、他の明王に見られる忿怒相を持たない。尾羽を大きく広げた孔雀の背に座し、一面四臂(1つの顔と4本の腕)の姿で表される。四手にはそれぞれ蓮華・孔雀の尾羽・果実(吉祥果)・倶縁果を持ち、慈悲と除災の徳を示す。

Benefits

🙏 Spiritual Benefits: 除災・延命・病気平癒・雨乞い

Mantra

おん まゆら きらんでい そわか

Famous Temples

🏛️ 金剛峯寺

和歌山県高野町

快慶作の孔雀明王像が伝わる。孔雀経法の道場

🏛️ 仁和寺

京都府京都市

孔雀明王像(国宝)を所蔵。平安密教美術の傑作

🏛️ 正暦寺

奈良県奈良市

孔雀明王の信仰が伝わる古刹。紅葉の名所